更新日 2002.11.3

 

角質細胞間脂質の由来

 角質細胞間脂質のいわゆる細胞生物学的起源は表皮、有棘細胞内で形成される層板願粒で、層板顆粒はGo1gi装置の嚢胞より分泌される。細胞内に分泌された層板顆粒は顆粒細胞図2が角質細胞になる直前に細胞外に分泌され、種々酵素の働きで修飾を受けたのち角質細胞間に再配列し、角質細胞間脂質となる。最近、層板顆粒の生化学的分離が可能となり、その成分および存在酵素が明らかとなっている。      Freinkelらによれば、主成分はグルコシルセラミド、ホスホグリセリドやスフィンゴミェリンで、存在酵素としては酸性ホスファターゼ、グルコシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼなどの活性が証明されている。これらの酵素は、層板顆粒構成成分を最終的に角質細胞間脂質成分に変換するのに働いているものと推察され、事実、角質細胞間脂質中にはグルコシルセラミドやスフィンゴミエリンは,すでに分解を受けほとんど存在しない。(芋川玄爾)


図の上でクリックすると拡大します

文献
現代皮膚化学大系(中山書店)年刊版’90−A  P.43〜53

 要するに基底層で細胞分裂により出来た表皮細胞が、角層に押し上げられる途中で、その細胞の中で角層間脂質(セラミド)は作られる。表皮細胞が角質細胞になっていくときにその間に挟み込まれるように角層間脂質は形成される。そのため角層は角質細胞間が上から下までこれで満たされている。これに対して皮脂は角層の表面を覆っているだけである。


前ページに戻る